借金のせいで相続人が全員放棄したら?
遺産相続は負債も一緒に引き継ぐため、借金がある場合は相続を放棄する人が増えます。
今回は、もし相続人が全員放棄をしたらどうなるのかを見ていきましょう。
▼借金で相続人がいなくなった時の相続
借金を背負うことになるとわかり、相続人がすべて相続放棄をした場合、相続はどうなるのでしょうか。
■家庭裁判所への申し立て
「借金の肩代わりをするのは御免だ」と法定相続人が全て相続放棄をしてしまい、法定相続人が誰もいなくなった時は、利害関係人が家庭裁判所に申し立てを行います。
この場合の利害関係人とは、特別縁故者や債権者です。
特別縁故者とは、通常は相続権を持たない内縁関係にある人や、赤の他人でありながら献身的に看護してきた人が該当します。
また、借金を返済してもらえない債権者が家庭裁判所に対し、相続財産管理人の選任の申し立てを行うケースもしばしばです。
■法定相続人は完全に放棄できない
被相続人が残した借金を相続したくなくても、「法定相続人は相続財産の管理を継続しなければならない」と、民法で定めています。
考えてみれば、内縁関係にある人や献身的に面倒を見てきた人が、負の遺産だけを押し付けられるのはかわいそうですよね。
そのため、仮に法定相続人全員が相続を放棄したとしても、法定相続人は相続財産管理人に引き継ぐまでに要する費用を負担する義務があります。
この引継ぎが長引けば長引くほど費用はかさみますので、「全員で分担して借金を相続した方が、出費が少なくて済んだ」となることもあり、相続放棄をするにも注意が必要です。
▼まとめ
身内が亡くなって相続する際に借金があるとわかれば、「相続を放棄したい」という気持ちになるのも無理はありません。
ただし、相続放棄をするにしてもお金がかかりますので、安易な相続放棄は考えものです。
当事務所では、さまざまなケースの相続問題のご相談を承ります。
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